ウミガメ類の繁殖と生育の場であるベトナム海域では、アオウミガメの混獲があり食用として流通している。このため、現地の水産研究所と共同で同国のウミガメの生態を把握し、保護策を立案するほか、同種を捕獲している人々の環境保全意識の萌芽を促すことを目的に事業を実施した。
具体的には、夏季と冬季の各1回、日本人専門家を派遣し、漁村(北部から南部までの任意の14ヶ所)及び研究所・水産企業(5ヶ所)にて漁獲状況や生息実態を調査した。その際、啓発用パンフレットを配布して情報収集への協力を訴えた。また、現地協力者を雇用して情報収集を行った他、同種が捕獲された場合のレスキューを実施した。捕獲個体は適正価格で買取り、飼育(治療)後、計測・標識装着後、放流(アオウミガメ5頭、タイマイ1頭)した。この他、標識放流・計測方法の指導や計測器具の譲渡等も行なった。本事業により現地関係者との間に情報交換網を構築できたことは貴重な成果であった。
特定非営利活動法人 日本ウミガメ協議会
ウミガメと海洋環境の保全のため、国内の関係団体や個人を結ぶネットワークの中心的役割を担う目的で設立された。年一度の日本ウミガメ会議の開催や情報誌刊行を行っている。産卵/標識調査により、日本のウミガメ類の急激な減少傾向や、日本の産卵個体の東シナ海への回遊を明らかにするなどしている。
Copyright 2007-2021 The Japan Trust for Global Environment. All rights reserved.