事業概要:アフリカでは多くのゾウの生息国で人間との軋轢が生じており、密猟よりも問題は深刻化している。特に森林に生息するマルミミゾウ(IUCN Redlist CR)はその生態系における重要な役割からも、森を利用する地域住民との共存が緊急課題である。オザラ・コクア国立公園南部にある公園本拠地ンボモ村周辺では、2015年ごろからゾウによる畑荒らし被害が悪化し、近年は住民の収入源の喪失、村全体で主食のキャッサバ芋不足という事態になっている。公園当局が決定した村を囲う20Kmの電気柵の設置は完成まで時間を要しており、公園の対策を補う形でその柵外まで対象を拡大し、安価で住民自身がメンテナンスのできる廃油・唐辛子を用いた防御柵によりゾウ害から畑を守る。
活動内容:貴団体の助成を受け2021年7月から廃油と唐辛子を用いた防御柵を試験的に数件の畑に設置し、ゾウから畑を守る効果が出た。2022年度はンボモ村を中心に南北、北東へ延びる道路沿いの集落の畑も対象として、住民自身の作業への参加を促しながら防御柵の設置を拡大する。これにより柵の有用性が実証され、取り組みが近隣の村に広がり、作物がゾウ被害から守られる地域も拡大、また農民がゾウ対策に自発的、協力的になるよう動機づけられるという成果が期待される。そしてサバンナゾウに比べ防除法が確立されていないマルミミゾウの対策モデルとしてコンゴ管轄省および国際社会へも情報を発信する。
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